小市民に正義があって欲望がないわけではない
「ミンボーの女」は伊丹十三が監督した
社会派の娯楽作品で、完成度の高い脚本と、
テンポの速い展開、そしてなによりエクスプロイテーション
的な娯楽要素に満ちた作品である。
この作品では、ヤクザの恐喝と戦う
普通の人々の奮闘を描いているが、
ここでは悪役はヤクザだけではない。
この作品に登場するすべての小市民が
みな平等に下世話な欲望を持って躍動しており、
それで足元をみられて破滅したり、あやうく足元を
救われかけたりと、奮闘する。
そうしたおかしみを持った人々の姿を、
作り手は冷静に客観しているようにみえる。
作品としてはそれがひとつのユーモアとなっているが、
観客としてはそれをずっと見ていると、
まるで我がことのように背筋がぞっとすることもある。
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