自分自身が変化させられてしまうのが楽園
「愛人 ラマン」はマルグリット・デュラスによる
ベストセラー小説で、後に映画化もされて大ヒットした。
この作品ではデュラスのベトナム滞在時代の
少女時代をモデルとして、
半自伝的な作品として仕上げている。
ヨーロッパ人特有の独特のコロニアリズム的な
視点を持った作品だが、
もレイシズムとしての効果だけを指すものではなく、
むしろそれはある種の文学的様式美とも言うべき
楽園願望でもあるのだ。
小説ではそこまで強調されて
描かれているとは思われないが、
主人公の白人の少女が中国人の富豪の息子を、
言葉ではののしりなが心の奥で愛していたことは
間違いないと思う。
こうした価値観が倒錯する独自の空間が、
東洋というヨーロッパ人から見た異郷に
仮託して描かれているのが本質だ。
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